紅葉の上生菓子

 

秋を主題にしたお菓子の中で一番多いのが「紅葉(黄葉)」の意匠です。秋の深まりとともに、色づいた木々によって、野山は赤や黄色に染め上げられます。日本は、国土のおよそ7割が森林で、さまざまな落葉樹が生え、寒暖の差があることから、いたるところで美しい紅葉を楽しむことができ、その美しさは世界一とも言われています。上生菓子としては、いろいろな色に染めた煉切やこなしで餡を包み、楓葉をかたどった木型で押し抜いたものが定番です。また、餡玉の周りに、色とりどりのそぼろを植え付けたきんとん製もよく見かけます。これ以外にも、各職人さんの創意工夫が結集された様々な意匠が無限にあり、秋のお菓子の花形的なテーマとなっています。銘にもひとひねり加え、紅葉の美しさを錦にたとえたもの、枕詞にちなんだものなどをよく目にします。