羊羹は棹物菓子の一種で、一般には小豆などの餡を型に流し込み寒天で固めたものです。寒天の量が多く固めの煉羊羹と、寒天が少なく柔らかい水羊羹があります。また、寒天は使用せず、小麦粉や葛粉を加えて蒸し固める蒸し羊羹もあります。
小豆の代わりに白餡を用い、食紅などで着色すると、カラフルな羊羹ができます。また、白餡に、抹茶や胡麻・栗・様々な果実のペーストなどを加えることで多種多様な味わいの羊羹が作られます。
上生菓子にも欠かせない製法で、羊羹を台にして、その上に錦玉羹や道明寺羹、薯蕷羹、東雲羹、淡雪羹、煉切、こなし、浮島、時雨など、他の素材と継ぎ合わせて四季折々の風物を描きます。また、他の製法で作られた菓子の装飾として、いろいろな色に染めた羊羹生地を桜花、楓、蝶、鮎など様々な形に抜いて添えたりします。さらに、セロハン系のシートをラッパ状に巻き、着色した細工用の羊羹を入れて絞り出しながら線を描くグラス絞りという技法にも汎用されます。
羊羹はもともと、鎌倉〜室町時代に中国へ留学した禅僧が日本へ伝えた点心 (てんしん:食間にたべる小食) の一つでした。本来、羊羹は「あつもの=スープ」の意味で、羊肉の汁物を指していましたが、禅僧は肉食を禁じられたため、小豆や葛粉、小麦粉を用いて、羊を使った料理に似せて作ったと考えられています。菓子としての羊羹が作られるようになった当初は、全て蒸羊羹でした。今日のように煉羊羹が主流となるのは、江戸時代前期に寒天の製法が発明され、普及してからのことです。
煉羊羹
栗蒸し羊羹
水羊羹