撫子は秋の七草のひとつであり、一般には秋の花として知られていますが、上生菓子の題材としては初夏に出回ることが多いです。実際の開花時期は6〜10月と幅が広く、夏のあいだ中花をつけることから、古くは「常夏(とこなつ)」とも呼ばれました。また河原によく生育することから河原撫子(かわらなでしこ)、中国産のなでしこは「石竹(せきちく)」、「唐撫子(からなでしこ)」と呼ばれ、いずれの名称も菓銘として用いられます。上生菓子で撫子を表現するには、5枚の花びらと、そのの縁が細かく糸状に
裂けている特徴をどのようにデザインするかがポイントです。