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待宵草(両口屋是清)

「待宵草(まつよいぐさ)」外郎製:両口屋是清

白と黄色にぼかし染めた外郎生地をうすくのし、何層も折りたたむようにして小豆こし餡を包んでいます。

 

晩夏の夕暮れ時に黄色い花を咲かせ、翌朝、しぼむ頃には橙色に変化する「待宵草」を写したお菓子です。

 

 

アカバナ科マツヨイグサ属には三姉妹とも呼べる近縁の三種があります。黄花を咲かせる「待宵草」、白花を咲かせる「月見草」、赤花を咲かせる「夕化粧」です。いずれも、夕方から花弁を開き始め、朝にはしぼんでしまう一日花です。

 

黄色が月を連想させるためか、黄花のものも「月見草」と誤って呼ばれることが多いですが、正しくは「待宵草」です。

 

 

 

また「待宵草」が「宵待草(よいまちぐさ)」と呼ばれることがありますが、これは竹下夢二の詩に由来するものです。

 

「待宵草」をモチーフにした歌ですが、夢二が勘違いして「待」と「宵」の順を逆に記したとも、響きの良い「宵待草」を敢えて造語したとも言われています。

 

 

日中は固く蕾を閉ざし、静謐な宵を待ち焦がれるように咲くという叙情誘う名からは、人知れず夜空を仰ぎながら風に揺れる花姿が目に浮かびます。