「琥珀(こはく)」錦玉製:玉川屋惣八
くちなしの実を煮出して色づけした美しい琥珀色の錦玉羹の中に、小さく切った大徳寺納豆を散りばめたお菓子です。
大徳寺納豆からほんのり滲み出した鳶色が、黒い斑点の輪郭をやさしくぼかしてくれています。
大徳寺納豆とは、古来製法で作られた納豆の一種です。あのネバネバと糸を引く現代の納豆とは違って、味噌の風味に近い塩味の納豆です。
酒のつまみやお茶請けとして用いられる他、京都では、大徳寺納豆を用いたいろいろな京菓子があります。
大徳寺納豆
(出典:http://nekozuradoki.cocolog-nifty.com/blog/2006/11/post-9d4b.html)
寒天液に砂糖や水飴などの甘味を加えて固めたものを錦玉羹(きんぎょくかん)または琥珀羹(こはくかん)といいます。 錦玉は主に関東、琥珀は関西で使われる言葉です。
基本的に、錦玉羹と琥珀羹は同じものをさしますが、特別にクチナシ色素等で色付けしたものや糖度が高く、色づいた錦玉を区別して琥珀羹ということがあります。
錦玉のしっかりとした甘味に大徳寺納豆の塩味が程よくきいた、独特の味わいを湛えた逸品です。
木の樹脂が長い年月を経て固化した宝石、琥珀になぞらえたこのお菓子、本物以上の輝きを放っていましたね。