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朝薫る(鶴屋吉信)

 

朝顔を写した上生菓子は今まで70種類ほど集めましたが、いまだに新しい意匠のお菓子に出会い、コレクションがどんどん増えていきます。

 

今日も素敵な一品を見つけたので、器に絵を描く心で盛り付けてみました。

 

 

「朝薫る(あさかおる)」きんとん製:鶴屋吉信

緑色に染めたそぼろを小豆つぶ餡のまわりに植え付けます。さらに、ピンクのこなし製の朝顔の花を二輪添え、さいの目に切った錦玉を散らしたお菓子です。

 

 

朝顔には匂いがないといわれ、その香りは想像できません。でも虫たちが惹きつけられている様子から、虫だけが感じとることができる特別な匂いがあるのかもしれませんね。

 

 

「香り」は鼻で感じる良い匂いのこと。そして「薫り」は雰囲気で感じる抽象的な ”かおり” 。

 

露に濡れながら早朝咲く朝顔は、その凛とした空気感を薫るように漂わせ、夏の朝を涼やかにしてくれます。

 

そんな光景が風情ある菓銘の中に見事に織り込まれていますね。

 

 

「あさかおる(朝薫る)」の銘の中に「あさかお(朝顔)」が隠れているのも楽しいです。