晩夏に、池や沼の水面を漂うように咲き誇る美しい花を写したお菓子をお届けします。
「睡蓮(すいれん)」錦玉製:豊島屋
底に虎豆の蜜煮を並べ、その上にピンクの煉切製の睡蓮の花と緑の煉切製の葉を配し、錦玉で流し固めた一品です。
八重咲きの花が蓮の花に似ていて、日が暮れると花びらを閉じ、水の上で眠るようなさまから「睡蓮」と名付けられました。
上からのぞくと睡蓮に隠れてよく見えない虎豆が、横からはきれいに見ることができます。虎柄に例えられる、この豆特有の茶褐色の斑紋が透明な錦玉の中で際立っています。
睡蓮の花は、木型でかたどられていますが、大きさから察するに、お干菓子用の蓮の型を転用したものでしょう。
V字形の切れ込みをもつ、メリハリの効いた葉と、均整の取れた花、透き通った錦玉などが、爽やかな夏の朝の趣を伝えてくれるようですね。