「銀杏青葉(いちょうあおば)」煉切製:富貴
緑と黄緑色にぼかし染めた煉切で小豆こし餡を包み、手技でイチョウ葉をかたどったお菓子です。
陽射しを受けて生き生きと輝く葉先、刷毛ではいたような葉脈、ヘラで一本一本丁寧に刻まれた葉縁の切れ込みなど、繊細な美しさが光る逸品ですね。
イチョウを漢字で書くと「銀杏」ですが、イチョウの実である「ぎんなん」も漢字で書くと同じく「銀杏」と書きます。
さらに、ややこしいのですが、銀杏(ぎんなん)は単独で秋の季語になりますが、銀杏(いちょう)は単独では季語になれません。
「銀杏散る(いちょうちる)」や「銀杏黄葉(いちょうもみじ)」のように、他の言葉をつなげば季語となり、これらは秋の季語になります。
同様に、「銀杏若葉(いちょうわかば)」や「銀杏の花(いちょうのはな)」は春の季語、「銀杏青葉(いちょうあおば)」は夏の季語、「銀杏落葉(いちょうおちば)」は冬の季語になります。
黄金色に輝く秋の黄葉があまりにも美しいイチョウは、その青葉が愛でられることはまれですが、和菓子職人さんの手にかかると、こんな魅力的なお菓子に生まれ変わるとは、青楓とはまた違った味わいのある一品に仕上がっていますね。