鮎は生まれて一年のうちに一生を終えるので「年魚(ねんぎょ)」とも呼ばれています。
焼き菓子の鮎はさらに寿命が短く、その姿が見られるのは夏の期間に限られます。
私の大好物であり、季節限定の希少性から、夏に和菓子屋さんを訪問した時には必ず買うようにしています。
生きのよい今日の鮎は、新丸子の「岡埜栄泉」産です。
急流を力強くさかのぼる若鮎が描かれた袋に、一匹ずつ大切に収められています。
包装袋の裏には、印がプリントされたシールで丁寧に封がされ、メッセージが添えられています。
“弊舗ここに思うところあり鮎の鮮姿を菓に製しその香味を炉辺の茶友に供しました。
季節の御菓子なのでなるべくお早めにお召し上がり下さいませ。”
普段、自分の使わない独特の言い回しが新鮮です。
「鮎(あゆ)」:岡埜栄泉(新丸子)
小麦粉、卵、砂糖を混ぜた生地をよく焼き、長方形に切った求肥をはさんで仕上げる基本のスタイルですが、顔や尾はひだやくびれを作らず、シンプルに焼ごてだけで形づくっています。
むらのない均等な焼き上がりが美しいですね。少し強めに焼き色をつけることで香ばしい風味も増しています。
この鮎の焼き菓子、今回の一品が加わりコレクション数が32種となりました。