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清流(花ごろも)

「清流(せいりゅう)」煉切製:花ごろも

水色と白にぼかし染めた煉切で小豆こし餡を包みまるめ、大納言の蜜漬けを半分ほど埋もれるようにとり付けます。さらに、アットランダムにヘラで筋を付け、細長く切った錦玉羹を数本配し、緑の羊羹製の楓葉を添えたお菓子です。

 

 

清流とは、辞書的には「清く澄んだ水の流れ」という意味ですが、いくら清らかで澄んでいたとしても、都会の真ん中にある川は清流というイメージではないですよね。

 

私が「清流」という言葉から受けるイメージとしては、まずは「透明感」、それから「木々に囲まれた美しい景観」「爽やかさ・気持ちの良さ」「鮎などの川魚」「せせらぎの音」などが挙げられます。

 

 

このお菓子の錦玉からは透明感を、羊羹の青楓からは川辺に生い茂る木々を、生地の水色からは爽やかさを、大納言からは川中の岩や魚影を、生地に刻まれた筋模様からはせせらぎを連想します。

 

まさに私が清流から受けるイメージがそのまま意匠になったようなお菓子ですね。

 

 

ある調査によると、「あなたが清流と思う河川」はという問いに対 して、「四万十川」がダントツで第1位に挙げられ、つい で「長良川」、「奥入瀬川」の順で20位までランキングされています。

 

花ごろもさんは神奈川県川崎市にある和菓子屋さんですが、残念ながら神奈川県を流れる川はこのランキングには入っていません。

 

 

美しい清流のある地方で、その清流の水で栽培した小豆を使い、その清流の水を使って製餡した素材を用いて、その清流自体をお菓子で表現するというような和菓子屋さんがあるとおもしろいですね。

 

(参考サイト:阿久根徹『清流に関する研究の動向について』)