瓢箪(ひょうたん)は、3つ揃えば三拍(瓢)子揃って縁起よく 、6つ揃えば無病(六瓢)息災に通じ、その末広がりのおめでたい形から、古来、お守りや魔除けとして広く用いられてきました。
また、蔓がどんどん伸び 、実が鈴なりになることから、子孫繁栄のシンボルともされています。
今日は、こんないろいろなご利益の詰まった美しい瓢箪のお菓子をお届けします。
「成瓢(なりひさご)」月餅製:鶴屋八幡
緑色に染めた月餅(げっぺい)生地で小豆こし餡を包み、手技にて青瓢箪をかたどったお菓子です。
「成瓢」は、瓢箪の別名ですが、加工した瓢箪と区別し、蔓になった自然の瓢箪をとくに「成瓢」といいます。
月餅製とは、鶴屋八幡さん特有の製法名で、 いわゆる中国菓子の月餅とは全く別ものです。 これは、求肥に似たもので、求肥は餅粉を使うのに対し、月餅は米粉を使うということで名称を区別しているそうです。外郎に近いものではないかと私は思っています。
瓢箪は小さな膨らみと大きな膨らみが上下につながり、真ん中が美しくくびれるその独特の形が魅惑的ですよね。
そのくびれの魅力が意匠の中に最大限に生かされています。
中の餡が透けて暗緑色に見える部分は、夏の強烈な陽射しによって生まれた影のようです。
細く小さくても存在感のある上部のヘタから、底のセクシーな窪みまで、隅々に細やかな神経の行き届いた造形が素晴らしいですね。