最近、あちこちで地震が頻発しているので、万が一に備え、非常食として、賞味期限の長い羊羹を常時2~3棹冷蔵庫にキープするようにしています。
時々、期限が迫っている羊羹がないかチェックするのですが、今日も整理しているときにお宝を発見しました。
本来は父の日用の羊羹なのですが、買ったことをすっかり忘れていて、冷蔵庫の一番奥に追いやられていたのです。
こんな洒落た箱に収められています。
白い曇りガラス風に色付けされたプラスチックケースの一部分がネクタイの形で透明になっていて、そこから中の羊羹が見えるのです。
しかも、その羊羹がなんと水玉柄!
しかもしかも、その水玉は羊羹を丸くくり抜いてかたどられていて、水玉のサイズも大小二種類あるという手の込みよう。
さっそく取り出してみましょう。
「琥珀のしらべ(こはくのしらべ)」錦玉・羊羹製:とらや
上部の煉羊羹にはフランス産のブランデーを使用し、ランダムに大小の丸にくり抜きます。さらに、クチナシ色素で黄色く染めた錦玉羹と重ね合わせたお菓子です。
父の日の贈り物用ということで、ネクタイがモチーフになっていたり、洋酒が使われていたりと、いろいろな楽しみがつまっているのがいいですね。
味は、芳醇な香りのブランデーケーキそのもので、食感は羊羹という不思議な感覚が味わえます。
寒天液に砂糖や水飴などの甘味を加えて固めたものを錦玉羹(きんぎょくかん)または琥珀羹(こはくかん)といいます。 錦玉は主に関東、琥珀は関西で使われる言葉で、江戸時代には金玉(きんぎょく)の名称の方が一般的でした。
基本的に、錦玉羹と琥珀羹は同じものをさしますが、特別にクチナシ色素等で色付けしたものや糖度が高く、色づいた錦玉を区別して琥珀羹ということがあります。
このお菓子の銘にはこのような由来があります。
さてさて、さっそく切り分けてみましょう。
光りの当て方をいろいろに変化させると、錦玉が神々しく黄金色に輝きます。
最近、このように羊羹をくり抜く意匠が流行りのようですね。
こちらは、同じくとらやさんの一品で、月に見立てて丸くくり抜かれています。
「満ちる月(みちるつき)」羊羹製:とらや
こちらは、バレンタイン用にハート型にくり抜かれています。
「ときめき」羊羹製:鶴屋吉信
父の日はとっくに過ぎてしまいましたが、お菓子は期限切れになる前に、なんとか救い出すことができて良かったです。