「くず桜(くずざくら)」葛製:仙太郎
本葛粉と甜菜糖を水に溶かして火にかけ、本返しにして、こし餡を包んで蒸します。これを塩漬けにした二枚の大島桜の葉で包んだお菓子です。
仙太郎さんは、春の桜餅も二枚の桜葉で包んでいましたね。
甜菜糖とは、甜菜(てんさい/砂糖大根)から作られる砂糖のことです。精製された白砂糖とは違い、未精製で自然のままなので、ミネラルなどの栄養がたっぷり含まれています。また、白砂糖とは違い、血糖値の上昇が緩やかなので、肥満防止やダイエットにも効果的といわれています。
葛の返し方には「本返し法」と「半返し法」の二つの方法があります。本返しの種は完全に透明で腰が出た状態であるのに対し、半返しの種は半透明で腰が弱い状態です。
桜の葉と半透明な葛のひんやりした食感がいかにも夏らしい一品です。
購入の際に、店員さんからくれぐれも冷やしすぎないようにとの注意がありました。冷やしすぎると”モチモチ”の食感が”ザクザク”になってしまい美味しくないそうです。常温保管が基本で、冷やしたい場合は食べる前に1時間ほど冷やすとよいそうです。
仙太郎さんの葛饅頭の葛は、奈良の吉野産と福井の熊川産を使っているそうです。
こんな素敵な解説書が付いていて、お菓子や原材料に対するこだわりや愛情がよく伝わってきます。
俳句の世界では夏の季語にもなっている「くず桜」。
桜を春だけの楽しみにしておくのはもったいないですよね。