燕をテーマにした上生菓子の定番の銘が「濡れ燕」です。
梅雨のころ、子燕のために餌をくわえ、雨の中を低空で飛翔する親燕の姿を写したお菓子です。
「濡れ燕(ぬれつばめ)」薯蕷製:両口屋是清
白と水色にぼかし染めた薯蕷饅頭に千筋をつけ、燕の焼印を押し、白いみじん粉を散らしたお菓子です。
和菓子の基本中の基本、薯蕷饅頭の製法は関東と関西では異なります。
関東式は、上用粉と砂糖を合わせた中に、山芋をすりおろしてこねつけます。関西式は、すりおろした山芋に砂糖を加えてまぜ、上用粉をもみまぜてこねつけます。
両口屋是清さんは、関東と関西の中間地点である名古屋の和菓子屋さんなので、どちらの製法を採用しているのか気になるところです。
山芋も地域による違いがあり、関東では長芋や大和芋が用いられ、関西ではつくね芋が一般的です。名古屋方面では伊勢芋を使用することが多いそうです。