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貴船川(亀屋良長)

 

今日は、京都の奥座敷・貴船の清流をあらわした爽やかなお菓子をお届けします。

 

 

まずは、凝りに凝った菓子箱をじっくり見ていただきたいと思います。

 

貴船川の流れを、いろいろな色の無数の線の連なりで描いた素敵な柄の包装紙。その中央に菓銘が書かれ、印が押されています。

 

 

箱は、単なる直方体ではなく、上面がドーム状に丸みを帯びています。

 

側面には、屋号「亀屋良長」にちなみ、亀甲形(六角形)の中に「良」の漢字があしらわれています。

 

その斜め上に「本」とあるのは、「本家」あるいは「本店」「本舗」のどの意味があるのでしょうか?

 

 

別の側面から見た写真ですが、一部が六角形にくり抜かれ、その中に、これまた「良」の漢字が見えます。

 

箱の紙には浮き出し加工で亀甲形が描かれています。

 

 

上蓋を開けると、その下にも同様に六角形の穴が開いていて、「良」の漢字が顔を出し、その横にホームページのアドレスが記されています。

 

 

上蓋の下に二枚目の蓋があり、そこに創業年と、八代目店主のあいさつ文が書かれています。

 

また、「百味会会員」「菓匠会会員」の文字もあります。

 

 

二枚目の蓋を開けると、ようやくお菓子の登場です。

 

「貴船川(きふねがわ)」錦玉製:亀屋良長

底に白い餅羊羹、その上に錦玉羹をのせた二層仕立て。錦玉羹の中には、若葉色に染めた羊羹製の青もみじと、水色に染めた羊羹製の鮎が入れられ、さらに、川底の石に見立てた小豆も配置されています。

 

青もみじの映える清流に揃って泳ぐ3匹の鮎。初夏にぴったりの爽やかな棹菓子です。

 

 

横から見ると小豆と青楓、鮎の深さの違いがよくわかります。

 

底に白く立ち込める濃霧のような餅羊羹の質感が見事ですね。

 

 

亀屋良長さんは享和3年(1803年)創業の京都の老舗です。

 

このお店のこだわりは「水」。 

 

和菓子づくりにはたくさんの水が使われます。素材の風味を最大限に生かしてつくられる繊細な和菓子にとって、水はその味を左右する重要な要素なのです。 

 

亀屋良長さんのお菓子はすべて、水道水は一切使わず、敷地内に湧き出している銘水「醒ヶ井(さめがい)」の水を使って作られています。 

 

 

京の名水によって大切に育まれた錦玉の中で、いきいきと泳ぐ鮎の姿は爽快ですね。