今日は、横浜伊勢佐木町にある「みのや本店」さんを訪問しました。
創業明治43年(1910年)という100年以上の歴史を誇る老舗です。
お店は伊勢佐木町商店街の入り口からすぐのところにある好立地。
店頭に幟や看板、ポスターなどをごちゃごちゃ並べた和菓子屋さんが多いのですが、ここの店舗は全面ガラス張りで、必要最小限度の張り紙が控えめに掲示されているのみ。
店内は明るい雰囲気で、商品のディスプレイも空間に余裕をもたせた配置で、すっきりまとまっています。
二階が工房になっていて、ここもガラス窓が大きくとられ、外から中の様子をうかがい知ることができます。
番重とよばれる薄型の菓子運搬容器が窓際に積み重ねられ、その横で白衣を着た職人さんがせっせと手を動かしている姿が見えます。
看板商品は「みのや本煉羊羹」。
全日本羊羹大品評会で最高位「全日本賞」を受賞した銘品で、神奈川県指定銘菓でもあります。
原材料は砂糖、小豆、寒天のみ。
寒天を水に入れて煮溶かし、砂糖と小豆を入れ、時間をかけて煉りながら煮詰め、水分を飛ばし、じっくりと固めていきます。
その過程は、さながら何千年何万年もの歳月をかけてゆっくりと生成される鉱物のようでもあります。
出来上がった羊羹の高貴な輝きは、黒水晶をも思わせる美しさ。
砂糖と寒天の量が多めなので、糖度が高く、しっかりとした食べごたえのある私好みの硬めの羊羹に仕上がっています。
羊羹に定評のあるお店なので、他にも「蒸し羊羹」「栗蒸し羊羹」「梅羊羹」「柚子羊羹」「豆羊羹」「水羊羹」なども豊富なラインナップ。
さてさて、本題の上生菓子です。
種類は多くはありませんが、季節ごとに3~4種類の品揃えがあります。
みのや本店さんは、横浜駅の地下街にも販売店舗があり、よく利用するエリアなので、近くを通った時には必ず上生菓子をチェックするようにしています。ここ5年間毎月のように確認していますが、各季節ごとに毎回、判で押したようにきっちりと同じ意匠のお菓子が出てきます。
新デザインの登場はまったくなく、意匠のマイナーチェンジさえもありません。かたくなに同じ意匠を守り通しています。
基本、オーソドックスな作風ですが、その中で唯一みのやさんならではの独創性が発揮された私のお気に入りの逸品がこちらです。
「紫陽花(あじさい)」煉切製:みのや本店
ピンクと白にぼかし染めた煉切、紫と白にぼかし染めた煉切で、それぞれ小豆こし餡を包み、その上に透明の錦玉羹の花びらを4枚乗せ、その脇に緑の羊羹製の葉っぱを添えたお菓子です。
みずみずしい錦玉で雨に濡れた紫陽花を見事に表現しています。花びらの中央にのせたひと粒ずつの白ごまが良い仕事していますね。
伝統的な羊羹や上生菓子以外に、遊び心あふれるこんなお菓子もありますよ。
かつて、みのや本店さんの向かいにあった、日本で初めてシウマイを販売した「博雅亭(はくがてい)」にちなんで考案されたお菓子です。
包装紙も素敵なデザインで目を引きますね。