今日訪問したのは、神奈川県川崎市にある「青柳」さんです。
東急東横線・元住吉駅前から続くブレーメン通り商店街の入り口に位置する昭和4年創業の老舗です。
駅西口には商店街の名前の由来になったブレーメンの音楽隊の像が立っています。
お店はこのはす向かいにあります。
水まんじゅう、豆大福、わらび餅、若あゆ、あんず大福・・・食欲をそそられる幟や張り紙に期待感が高まりますね。
こじんまりとした店内には、効率よく商品が配列され、無駄なスペースなくぎっしりと並べられています。
どのお菓子にも手書きの解説やおススメポイントが付いていて購買意欲をかきたてられます。
また、菓子木型の展示コーナーがあったり、誕生餅と映った赤ちゃんの写真がたくさん掲示されていたりと、飽きさせない工夫が随所に凝らされています。
「満願どら焼」「えがお子餅」「一福巴衣」「福みるく」「三柱神住吉最中」「住吉小梅」など、お菓子のネーミングも素敵で、どれを選ぶか迷ってしまいます。
その中で目にとまったのがこちら。
「もとすみブレーメンのたまごやき」:青柳
ブレーメン通り商店街にちなんだ地域限定菓子です。
卵をふんだんに使用した生地で、お餅と小豆つぶ餡を挟んだオムレツ風の和菓子。
どら焼き生地よりもやわらかく軽やかで、浮島よりもきめの細かい、とても口どけの良いふわふわの生地が持ち味です。
もうひとつの看板商品が果実大福です。
春はイチゴ、初夏はパイナップル、盛夏はスイカ、秋はブドウ、冬はミカンと、季節ごとにフルーツが変わります。
今の時期はパイナップルが入った「完熟パイン大福」です。
「完熟パイン大福(かんじゅくばいんだいふく)」:青柳
断面を見て驚いたのは、パイナップルの占める割合が予想以上に大きかったことです。
餅生地は薄めで、直接フルーツを包む白餡はさらに薄く、1~2ミリほど。職人さんが試行錯誤を繰り返し、汁気の多い生のパイナップルの水分をうまく閉じ込めるベストの比率をあみだしたそうです。
滑らかな生地の心地よい感触を感じながら、そっと歯をたてると、中から芳醇な果汁があふれるように出てきます。
今までいろいろなフルーツ大福を食べてきましたが、この大福が一番おいしいと感じました。
さてさて、本題の上生菓子ですが、レジ横の専用のショーケースの中に大切に収められています。
3種類あり、すべて購入しました。
「お花畑(おはなばたけ)」きんとん製:青柳
抹茶入りのそぼろを小豆こし餡のまわりに植え付け、その上に、黄・ピンク・紫の三色のきめ細かいそぼろを添えたお菓子です。
畑なので、あえて四角く植え付けているのが楽しいですね。
「山吹(やまぶき)」煉切製:青柳
黄色と白にぼかし染めた煉切で小豆こし餡を包み、手技で花形をかたどります。さらに、黄色いそぼろのしべをのせ、緑の羊羹製の葉を添えたお菓子です。
形からすると、まだ完全に開ききってない、ほころびかけた山吹を写しているようです。
「紫陽花(あじさい)」錦玉製:青柳
紫色に染めた煉切で小豆こし餡を包みまるめ。そのまわりにさいの目の錦玉を付け、緑の煉切製の葉を添えたお菓子です。
和菓子の味を決める重要な要素として原材料の良し悪しがあります。
同じ材料でも色々なメーカーのものを仕入れ比較吟味し、一番おいしいと感じるものを選定するのが青柳さんのこだわりだそうです。
今回は、パイナップル大福の鮮烈な味わいに圧倒され、上生菓子が少々かすんでしまいましたが、今後も定期的におじゃましたい素敵な和菓子屋さんです。