青楓が盛りの季節に、真っ赤に染めた楓の意匠にびっくりしました。
この時期になぜ赤い楓なのか?その謎解きのカギを握るのは菓銘の「やしお」です。
「やしお」こなし製:両口屋是清
赤のこなしを長方形にのし、千筋を付けた後、楓の型を押します。同じく緑のこなしを長方形にのし、赤いこなしと少しずらせて重ね合わせ、二つ折りにして小豆こし餡を包んだお菓子です。
「やしお(八入)」とは、カエデの園芸品種で、春の若葉が赤く、夏に緑色になる植物のことです。
また、八入には、布を幾度も染め汁に浸して濃く染めるという意味もあり、また、その染めた布そのものも指します。
春から夏にかけ、赤から緑へと色どりを変える八入楓を二色で表し、さらに反物風の形で、その色に染めた布をも表現するという機知に富んだ逸品ですね。