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唐衣の舞(俵屋吉富)

「唐衣の舞(からころものまい)」錦玉製:俵屋吉富

淡紫色と白の二色の羊羹を重ね、その上に配した錦玉羹の中に、羊羹製で杜若(かきつばた)を描いたお菓子です。

 

初夏の水辺に群生する杜若のさわやかな光景が浮かびます。

 

紫の羊羹で単に花びらを写すだけでなく、輪郭のみで表現している部分があるのが斬新ですね。

 

季節限定販売(4/18頃~5/31頃)の創作羊羹で、今年の新作です。

 

 

「唐衣」とは、「着る」、「裁つ」、「袖」、「裾」、「紐」などにかかる枕詞です。

 

ら衣つつなれにしましあれば、るばるきぬえうびをしぞ思ふ」(在原業平)の歌にちなんだものです。

 

[訳] 唐衣を着なれるように、なれ親しんだ妻が都にいるので、はるかここまでやって来た旅のつらさを身にしみて感じることだ。

(出典:古語辞典-Weblio辞書)

 

『伊勢物語』の中で、三河八橋の杜若を見て、かきつばたという5文字を和歌の(5・7・5・7・7の)各句の頭文字に置いて詠んだ歌です。

 

 

さっそく、切り分けてみました。

 

 

杜若は、湖や沼など、水辺を好み、開花期が梅雨と重なることもあり、まさに「水」との相性の良い花。

 

透明感あふれる瑞々しい錦玉で表現することで、水と杜若をうまく結びつけています。