「風そよぐ(かぜそよぐ)」薯蕷製:鶴屋吉信
小豆こし餡の中に大納言小豆の蜜漬けをひと粒入れ、薯蕷生地で包み、木型にて水紋をかたどり蒸し上げます。最後に緑の羊羹製の楓葉を添えて完成です。
風そよぐ爽やかな清流に、ひとひらの青楓が舞う風情を写したお菓子です。
埋め込んだ大納言の上の生地がもう少し薄ければ、黒い色が透けて、川中の岩のようになっていたと思います。
「そよぐ」とは、「風に吹かれ、そよそよと音を立てる、わずかに揺れ動く」という意味です。
渓流を覆い隠すほどの青葉をつけた木立に風が渡り、さやさやと心地よい葉擦れの音を立てています。
葉っぱが揺れ動くたびに、ちらちらと瞬く木漏れ日。
風に押され、枝を離れた楓葉が水面に舞い降り、渦に巻かれながら流れていく。
そんな光景が浮かびます。