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「あいざわ菓子舗」さん

 

今日は横須賀の名店「あいざわ菓子舗」さんを紹介します。 

 

最寄りの駅は、JR横須賀線の横須賀駅です。 

 

 

駅名の上にカモメと錨があしらわれたシンボルマークが掲げられているのが珍しいですね。 

 

駅舎を抜けると、すぐ目の前に艦船が居並ぶ軍港の光景が広がります。 

 

 

物々しい軍事設備と、これから買いに行く雅な上生菓子とのあまりのギャップに苦笑しながら、目的地へと向かいました。 

 

あいざわ菓子舗さんへは、確か3〜4年ぶり、二度目の訪問だと思いますが、不思議と道順はしっかりと覚えていて、迷うことなく5分ほどで到着しました。

 

 

すっきりとした和風モダンな感じの店構えです。(幹線道路に面していて、車の通行量が多く、シャッターチャンスを捉えるのに手間取りました)

 

 

このお店は、横須賀の名所にちなんで名付けられたお菓子がたくさんあるのが特徴です。 

 

「湘南の海」「立石の渚」「大楠山」「長者ヶ崎」「横須賀物語」「横須賀の海」「横須賀ストーリー」「横須賀ロマン」「横須賀の梅どらやき」といったように、ほとんどのお菓子に地元の地名が付けられていて、ご主人の郷土愛の深さが伝わってきます。 

 

ピシッと着物を着こなした女将さんが対応してくれるのも老舗の和菓子店ならでは。また、ご主人も度々店先に出てこられては、ショーケースのチェックなどまめにされている様子で、店内がきちんと整理整頓され、清潔感があるのもいいですね。 

 

 

ここの一番人気は、「豆大福」。

 

 

絹のような生地のなめらかさ、豆の香ばしさ、上品にまとめられた餡の程よい甘さ、都内の有名店まで足を運ばなくてもそれに負けない美味しさです。 

 

こんな本格的な和菓子屋さんが近くにある横須賀の人たちがうらやましい。 

 

 

さてさて、肝心の上生菓子ですが、こちらも完成度が高いです。意匠も要所要所にさりげなく独自色が盛り込まれていて、新鮮味があります。 

 

全部で5種類あり、すべて購入しました。 

 

「あじさい」きんとん製 

別名「七変化」とも呼ばれる紫陽花の複雑な色の変化を、絶妙な配色のそぼろで見事に表現しています。露に見立てた錦玉の透明度が抜群に高く他店にない輝きを誇っているのも特筆ものです。 

 

 

「びわ」煉切製 

ヘタやヘソの造形、ビロードのような優しい果皮の質感など、定番の意匠ですが、職人さんの卓越した技術がはっきりとわかる名品です。 

 

 

「ほたる灯(ほたるあかり)」求肥製 

白こし餡入りの求肥餅の上に淡雪羹をのせ、その上にホタル、草の葉、さらに、紫陽花まで描いた贅沢な一品です。 

 

 

「花しょうぶ(はなしょうぶ)」煉切製 

花しょうぶの特徴的な花姿を見事な手さばきでかたどっています。特に立体的にあしらわれたシベの造形には感心しました。 

 

 

「あさがお」煉切製 

ピンクと白にぼかし染めた煉切で小豆こし餡を包み、手技にて朝顔の蕾をかたどり、羊羹製の葉を二枚添えたお菓子です。 

 

 

優雅な柄友禅の包装紙もお菓子を引き立ててくれます。

 

 

上生菓子のレベルの高さ、地元色豊かな多彩な品揃え、落ち着いた店内の雰囲気、感じのよい接客など、一本筋の通った店主の信念が感じられる名店で、今後も毎月リピートしたくなりました。