先月、伊勢丹新宿店で開催されていた「香川デザイン倶楽部」の展示販売会で、菓子木型を4点購入しました。
九州・四国地方でただ一人の存在といわれる菓子木型職人、市原吉博氏の貴重な作品です。
その中から、今回は「松かさ」をかたどったこの木型を使って、お菓子を作ることにしました。
左が図柄を彫り込む”ツラ”と呼ばれる木型、右がお菓子の厚みを形成する”下司(げす)”です。
菓子木型で用いられる木は湿気に強く、硬くて目の細かい山桜の木が使われます。
さすがこの道45年の名人の作だけあって、彫りの深い見事な出来栄えですね。
この木型を和菓子屋さんに持ち込み、特注でお菓子を作ってもらいます。
お菓子作りを担当していただいたのは、おなじみ、横浜野毛にある「もみぢ」さんです。
今回は、一般的な茶色の松かさと、緑の松かさの二種類を作ることにしました。
最後にお楽しみの命名式です。
「まつかさ」に当てられる漢字は三種類あり「松笠」「松傘」「松毬」。
「松毬」は「ちちり」「 ちちりん」とも読まれるそうです。
また、「松ぼっくり」「松ぼくり」「松ふぐり」とも呼ばれます。
いろいろ吟味した結果、最終的に、こちらの銘となりました。
「松毬(まつかさ)」煉切製:上生菓子図鑑/もみぢ
毛羽立つように見える鱗状の風合いと、丸い球状の形から、「毛」の部首に「求」を合わせたこの漢字を選びました。
吉祥の象徴とされる松。その松かさの鱗片がいくつも連なるように ”喜びごとも続きますように” との願いを込めて!