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菱餅の上生菓子

「ひし餅(ひしもち)」餅製:みのや本店 

紅白に染め分けた餅生地と、草餅をそれぞれ菱形に切り、重ね合わせたものです。

 

ひな祭りに欠かせない定番の一品ですね。 

紅・白・緑の三色が一般的で、紅が桃の花、白は雪、緑は草に見立てられることが多いですが、根拠はないようです。

 

ひな祭りに菱餅を飾る風習は江戸時代から見られるそうですよ。 

 

緑の部分に草餅を使うのは、よもぎには邪気を祓う力があるためです。 

 

菱形の意味は、陰陽道でこの形は女性を象徴するのと、菱形は先端が尖っているため、厄を除けるという意味もあるそうです。 

 

 

今日は、この菱餅を上生菓子に写したものを集めてみました。

 

「菱ようかん(ひしようかん)」羊羹製:大倉山青柳 

 

よもぎ入りの羊羹の上に、ピンクと白の二色の羊羹を重ね、金箔を添えています。 

 

「菱羊羹(ひしようかん)」羊羹製:鈴懸 

 

緑とピンクの二色の羊羹の間に上南羊羹をはさんでいます。上南羊羹とは、錦玉羹に上南粉(きめの細かい米粉)を加えたものです。

 

「ひなまつり」軽羹製:東宮 

 

ピンクと緑に染めた軽羹の間に小豆錬羊羹をはさんでいます。通常、ピンク・白・緑の3色が使われますが、東宮さんのは白の部分が黒い羊羹になっています。それぞれ生命のピンク・土の黒・芽吹きの緑を表しているようで、この3色のお菓子を食べることで自然のエネルギーを授かれそうですね。

 

「菱餅(ひしもち)」羊羹製:一炉庵 

 

ピンク、白、緑に染め分けた羊羹を三層に重ね、煉切製の桜の花びらを添えています。 

 

「雛祭り(ひなまつり)」上南羊羹製:成城風月堂 

 

上南粉というきめの細かい米粉を使用した羊羹で、普通の煉羊羹と比べて、よりさっぱりして軽い口あたりが特徴です。

 

「菱餅(ひしもち)」村雨・羊羹製:豊島屋 

 

緑色に染めた羊羹の上に、紅白二色の村雨を重ねています。 

 

「菱ようかん(ひしようかん)」羊羹製:秋色庵大坂家 

 

抹茶羊羹の上に、紅白の羊羹を重ねています。三層それぞれの厚みが異なるのが特徴です。

 

「雛の宵(ひなのよい)」浮島製:塩野 

 

淡いオレンジ色と緑に染めた浮島の間に小豆錬羊羹をはさんでいます。通常、ピンク・白・緑の3色が使われますが、塩野さんのはピンクの部分が少し黄色みがかって、オレンジ色っぽく見えます。また、白の部分が黒い羊羹になっています。 

 

 

 

 

 

 

同じ菱餅を写したお菓子でも、こうして並べてみると、色合いや素材の違い、添え物の工夫など、それぞれの職人さんのこだわりや個性が見えてきておもしろいですね!