先日、所用ができて、江古田(えこだ)に行くことになりました。
私にとって始めて行く、まったく未知のエリア。
新たに和菓子屋さんを開拓する絶好のチャンスです!
主目的の件はそっちのけで、まずは和菓子店を物色する私。
ネットでいろいろ検索したところ、駅から比較的近い場所に上生菓子を扱っている理想的な一軒を見つけました。
創業65年の御菓子司「さゝや」さんです。
「さゝ」とくると、東京神田駿河台下にある有名な「さゝま」さんが浮かびますが、今回は「さゝや」さんです。
店構えから察するに、私が好む理想の和菓子屋さんのにおいがプンプンしますね。
日頃考えている和菓子屋さんの理想形とは
(1) 一店舗主義、つまり、チェーン展開していない、デパートなどにも出店していない、そこにわざわざ足を運ばなければ食べられない。
(2) できれば通販もやっていない。
(3) 地域密着型である。地元の人に愛され、支持されている。
(4) 上生菓子に重点を置いている。
(5) 生菓子はその日に作ったものをその日のうちに売る。
はたして、予感的中!実に見事な逸品に出会えました。
「雛桃(ひなもも)」煉切製:さゝや
淡黄色に染めた煉切で刻み栗入りの白こし餡を包み、手技で桃の形をかたどります。上部に紅色を吹きつけ、全体につや寒天をかけ、煉切製の葉を添えたお菓子です。
通常、複数の色を使う場合、ぼかし技法で色を混ぜることが多いのですが、今回は吹き竹に紅色をつけ、桃の上のほうに加減しながら吹きつけ、ほどよい赤みをつけています。
旧暦の3月3日は、ちょうど桃の花が咲くころでもあり、雛祭りは「桃の節句」とも呼ばれています。
中国では古くから桃を仙果(仙人が食べる貴重な果物)とみなし、邪気をはらい不老長寿を与えてくれる果物として神聖視されてきました。
そんなことから、桃の実も節句を祝うのにふさわしいものとして、雛菓子のテーマとしてよく登場します。
それにしてもこの桃、陶磁器のような美しい光沢に惚れ惚れします。
また、吹き竹を用いてエアブラシの要領で絶妙に着色された赤味の見事なこと。
発掘されるのを待っている隠れた名店がまだまだあることを実感しましたね。