「弁慶の涙(べんけいのなみだ)」葛製:成城風月堂
葛で抹茶餡を包み、茶巾絞り仕立てにしたお菓子です。
”強力(ごうりき:荷物持ち)に変装した義経が、その正体を気付かれそうになった時に、弁慶は「愚かな強力め!荷運びがグズだから怪しまれるんだ!」と主君である義経を金剛杖で叩き、その疑いを晴らす。危機を脱出した義経は弁慶の機転を褒めるが、弁慶はいかに主君の命を助けるためとは言え無礼を働いたことを涙ながらに詫びる”という場面に由来したお菓子です。
「ついに泣かぬ、弁慶の、一期の涙ぞ、殊勝なる…」
(絶対に泣かないような意思の強い弁慶の、一生に一度の涙は、けなげなことであるよ)
とうたわれる名シーンを、シンプルなお菓子で見事に表現していますね。
弁慶の大粒の涙が、舞台の松羽目の色を映しているかのように緑に輝いています。
抹茶餡の後味にほのかに残るほろ苦さが、弁慶の心情をさらに引き立てていますね。