今日は家族みんなで敬老の日をお祝いするために、奮発して松茸弁当を買ってきました。
不織布の風呂敷に丁寧に包まれていて、何やらメッセージカードも入っているようです。
ふむふむ、敬老の日のメッセージカードですね。猫ちゃんがカワイイ!
はやる気持ちを抑えながら、さっそく包みを解いてみました。
ジャ、ジャ〜ン!!中から黄金色に輝く重箱(一段だけですが)の登場です。
もう、待ちきれませんね。さっそく蓋をあけてみましょう。
ワクワク。
うわぁ〜×4 (家族みんなの歓声)
すごい豪華版です。松茸がゴロゴロ入っています。
まず、おばあちゃん(私にとっては母親)の分を取り分けましょう。
最初におばあちゃんから、ひと口味見を。さあ、召し上がれ。
「ん?んんん?このご飯なんか変やね!」「えらい甘いで〜」
思わず、関西弁丸出しの声を上げました。
言われてみると、確かに、なんだかご飯の感じが変ですね。
カステラのような生地の上に細かいそぼろ状のものがのっています。
そうなんです!実はこのお弁当、すべて和菓子の素材で作られているのです!
おばあちゃん、まんまとだまされてしまいましたね。
作戦大成功!
「松茸弁当(まつたけべんとう)」浮島・煉切・羊羹製:虎屋
栗の浮島を台にして、その上にご飯に見立てた栗餡のそぼろを敷き詰め、煉切製、羊羹製のいろいろな具材をのせ、写実的に松茸弁当を写した工芸菓子です。
「工芸菓子」というのは、すべて食べられる素材を使って、我々の身の周りにあるいろいろなものを、写実的、立体的、絵画的に表現したものです。
上生菓子とどう違うのかというと、上生菓子は必ずしも写実的である必要はなく、表現方法は多彩で、むしろ抽象的な意匠が多いのが特徴ですね。
とにかく工芸菓子は写実力が
命で、誰が見てもひと目で何なのかわかるリアルさを追求する世界なのです。
このお弁当もほんとうによくできています。
ひとつひとつ素材を見ていきましょう。
主役の松茸
穴がリアルなれんこん
花の形に飾り切りされたにんじん
グリーンピースまたは翡翠色のぎんなんと思われるもの
クリクリの栗
紅葉型のお麩
バランの上に鎮座するお新香
ご飯の部分
色合いといい質感といい、どの具材も見事に再現されていますよね。
創作した虎屋さんは、赤坂に本店があるあの有名な「とらや」さんではなく、元和6年(1620年)創業の広島県福山市の和菓子屋さんです。
このような工芸菓子は江戸時代に大奥で鑑賞されていた「献上菓子」がルーツだそうですよ。
さすが、大奥ですね!あの時代にこんな贅沢な物を楽しんでいたとは。
今年の敬老の日も、美味しくて遊び心満載の和菓子のおかげで楽しく過ごすことができました。