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黄身しぐれ(喜利家)

「黄身しぐれ(きみしぐれ)」黄身時雨製:喜利家 

卵の黄身を煉りこんだ黄身餡で、自家製のこし餡を包んで蒸したお菓子です。 

 

蒸すことで餡の味がまろやかになり、さらにお菓子の表面にひび割れができます。

 

この独特のひび割れは、失敗してできたものではなく、わざと作ったものです。

 

理想的なひび割れは、大きなひび割れにさらに細かなひびが入る事といわれていますが、この綺麗なひび割れを作るのがなかなか難しいといいます。

 

餡の配合や蒸気の当て具合、蒸し時間、熱の入れ加減、その日の湿度などによって、微妙に仕上がりが異なるため、熟練した職人さんの経験と勘と技が必要になるのです。

 

しぐれ(時雨)とは秋の末から冬の初めにかけて、ぱらぱらと通り雨のように降る雨のことで、雨が降る景色や稲妻、雨の後に雲のすき間から日の光が差し込む様子などを、ひび割れで表現したお菓子がこの「黄身しぐれ」です。

 

「黄身しぐれ」の「黄身」は卵の黄身を意味しますが、同じ読み方の他の漢字を当てて、風流に「黄味しぐれ」とか「君しぐれ」と書く事もあります。

 

ひび割れまで芸術に変えてしまう和菓子は、ほんとうに感性豊かで、繊細ですね。