「黒まんじゅう(くろまんじゅう)」薯蕷製:ときわ木
沖縄県波照間島産の黒糖を加えて炊き上げたこし餡を薯蕷の皮で包み、ふっくらと蒸し上げ、「黒」の焼印を押したお菓子です。
ときわ木さんは明治43年(1910年) 創業の東京日本橋の名店ですが、創業時からずっと通年で販売されている名物です。
真っ白い薯蕷饅頭なのに「黒まんじゅう」というのは、中の真っ黒な黒糖餡からの命名ですね。
この饅頭の命でもある黒糖の風味のなんと豊かなこと。
幾重にも重なり押し寄せてくるふくよかな甘みの中に、ほろ苦さもあり、それでいて雑味のない深い味わいにはほんとうに驚きました。
しっとり柔らかな薯預生地はあくまでも脇役に徹しています。白と黒の凛としたコントラストも美しいですね。
高級和菓子で使われる黒糖は波照間島産のものが人気です。
沖縄では、伊平屋島、粟国島、多良間島、小浜島産、西表島、伊江島、与那国島、そして波照間島の8カ所で黒糖が作られていますが、その中で品質が一番いいのが波照間島産だそうです。
黒糖の味の善し悪しは、サトウキビを収穫した後、いかに早く、新鮮なうちに加工するかにかかっています。
その点、波照間島では、製糖工場と農家がきっちりと話し合い、計画的にサトウキビの刈り取りをするので、基本的には刈り取った当日、遅くても翌日の午前中には黒糖に加工されるということで、それが質の高い黒糖を生み出すポイントになっているわけですね。
人の住む島の中で、日本最南端の島から届いた自然の恵みに感謝しながら美味しくいただきました。
波照間島のさとうきび畑