「枯野(かれの)」きんとん製:鶴屋八幡
小豆さらし餡と、黄味餡のそぼろを黄味餡のまわりに植え付け、氷餅を散らし、草が枯れ果て、ひっそりとした冬の野を表現しています。
氷餅は、枯草の上に降りた霜が、キラキラ光っているように見えます。
一面枯れ色に覆われた野は、何もなく、ひっそりと静まり返り、ただ冷たい風だけが吹き抜けてゆく、そんな寂寞とした光景が目に浮かびます。
「枯野」は、古くから好んで使われる冬の季題で、古今集、新古今集にも枯野を詠んだ歌が多いですね。
さびしく侘びしい、物悲しいイメージの「枯野」ですが、見方を変えると、「 やがておとずれる芽吹きの季節を待つ姿」とも解釈できますので、そう考えれば、厳しい冬も、淡い希望の光を感じながらなんとかやり過ごせそうですね。