私が子供のころは、囲炉裏や火鉢などは日常生活の中で欠かせないものでした。
その後、様々な暖房器具が発達し、今ではほとんど見られなくなりましたが、今日は、昔なつかしい炭火にちなんだお菓子をお届けしたいと思います。
「埋火(うずみび)」煉切製:いづみや
白と紅色にぼかし染めた煉切で小豆こし餡を包み、茶巾絞り仕立てにし、焼き目を付け、埋火を写したお菓子です。
埋火というのは、消えないように灰の中に埋めた炭火のことで、俳句の世界では冬の季語になっています。
茶道においては、除夜釜から新年にかけて、今年使った火を絶やさないように翌年に持ち越すという意味で「埋火」は特に大切なものだそうです。
灰の中で、仄かに、静かに燃え続ける炭火を、シンプルな手法で見事に表現した、味わい深い逸品ですね。
寒い時季だけに、その暖かさがじんわりと伝わってくるような気がします。