「冬篭(ふゆごもり)」こなし製:とらや
紅色に染めたこなしで白小豆こし餡を包みまるめ、雪に見立てた山芋のそぼろを添えたお菓子です。
250年ほど前に初めて創作されたものだそうですが、モダンアートのような斬新な意匠に目が釘付けです。
「冬ごもり」とは、「冬籠/冬篭」とも書き、人や動物が、冬の寒い間、家・巣・土の中などにこもって過ごすことをいいます。
本来、この言葉は草木が冬になって葉を落とし、その精気が地中深くもぐることを意味する季語だったそうです。
それが、人の生活に転化され、寒風や雪によって活動の自由を奪われた人が家に閉じこもることを意味する言葉になりました。
このお菓子の紅色は、「冬ごもり」の本来の意味である、「地中深くにもぐる草木の精気」を表現しているようです。
あらゆる生命が誕生する春に向けて、冬はその大切な準備期間です。長い冬の寒さに耐え、雪の下でじっと春を待つ"いのち"を感じさせてくれる温かみのある逸品ですね。