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ゆりねきんとん(龍月)

「ゆりねきんとん」きんとん製:龍月 

小倉餡のまわりに、白小豆と百合根(ゆりね)をあわせた白きんとんを植え付け、大納言を一粒のせたお菓子です。

 

裏千家家元十一世の玄々斎(げんげんさい)が安政2年(1855)10月に好まれた「好み菓子」です。

 

『千家好菓子集』の覚書によると、玄々斎の好みは、寒牡丹・春の野・寒月・仙家・此花(=咲分)・百合金団・銀杏餅・三友餅・笑くぼ・竹流し水羊羹・琥白糖・早蕨などが挙げられています。

  

玄々斎といえば、初釜のときに花びら餅を使うことを、宮中から最初に許可された人物でもあります。 

 

 

さて、百合根といえば、茶わん蒸しやうま煮などには必ず入っていて、正月のごちそうとしても欠かせない品です。

 

百合根は白い鱗茎(りんけい)が幾重にも重なっていることから、「百の根が合わさる」という意味で百合根という漢字があてられました。

 

また、鱗茎が重なることを「年を重ねる」にかけて、正月にはなくてはならない縁起物です。

 

さらに、ユリの霊力は天上の扉を開くと信じられ、昔は滋養強壮、利尿、せき止め、産後の回復などへの効果から、薬用として食されていました。

 

その縁起と効用から、「一年間無病息災で暮らせるように…」「子孫繁栄に…」と、おせち料理に加えられたという説もあります。 

 

どのユリの根っこも食べられるわけではなく、オニユリやヤマユリなどの栽培品種が、アクが少なく、主に食用として利用されています。

 

主な産地は、北海道で、全国の九割以上を生産しているそうです。

 

収穫時期は産地にもよりますが、秋から年末にかけてで、正月料理への需要があるので、年末が出荷のピークです。 

 

 

百合根が採れるオニユリ