「つは蕗(つわぶき)」煉切製:秋色庵大坂家
小豆煉切と緑餡をまぜてぼかし染め、黄身餡を包み、つわぶきを彫り込んだ木型で押し抜いたお菓子です。花の部分は鮮やかな黄色い煉切を付けています。
同じ意匠、同じ銘のお菓子ですが、よ〜く見比べてみると、ぼかし具合や、構図、葉脈の柄、茎の長さ、花の配置などが微妙に異なります。どうやら同じ木型がいくつかあるようですが、手彫りのためひとつひとつ表情が違うのが味わい深いですね。
斜めから立体的に見るとこんな感じです。側面にもぼかしが入っています。
断面です。黄身餡の黄色もつわぶきの花色を象徴しているようですね。
「つわぶき」は、漢字では石蕗と書き、 キク科の植物だけあって、その花は菊に似ています。
海岸地帯に自生しますが、日陰でもよく育ち冬でも緑の葉っぱが枯れずに茂っているので、古くから観賞用として、あるいは庭園の下草として、よく植えられています。
長い軸を持った葉っぱはフキに似ていて、その表面はワックスを塗ったような光沢があるところから、「ツヤのあるフキ(蕗)→ツヤブキ」が転じて「ツワブキ」となったと言われています。
この青々とした葉は一年中楽しめますが、何といっても花の咲く初冬の姿が最も美しいですね。
黄色い花は、日射しを浴びると、金色に輝いて見えます。