「賢者のおくりもの(けんじゃのおくりもの)」羊羹製:乃し梅本舗佐藤屋
色とりどりの煉切で作った円盤の中に星形を抜き、山形産の蜂蜜を使った寒天の中に並べます。これをマリブとクレーム・ド・ストロベリー入りの羊羹の上に配した棹物菓子です。
マリブはイギリス生まれのココナッツリキュール、クレーム・ド・ストロベリーはフランス生まれの苺リキュールです。
オー・ヘンリーの代表作となった短編小説『賢者の贈り物』からインスピレーションを得て創作されたお菓子で、クリスマスの灯りのともる部屋を表しているそうです。
苺リキュールの上品な色合いに由来するペールピンクの羊羹が魅惑的ですね。
苺の瑞々しい香りと、それを包み込むように、その背景にほのかに感じる椰子の実の香りがとても印象的でした。
上生菓子は本来お茶席でいただくものなので、茶の香りの邪魔にならないように、素材そのものの匂い以外に香りを付けることは基本的にありません。
今日のお菓子は、クリスマス用ということなので、そんなしきたりにはとらわれず、香り高い果実酒がふんだんに使われています。
乃し梅本舗佐藤屋さんは、文政4年(1821年)創業といいますから、約200年も続く山形の超老舗です。
八代目佐藤慎太郎氏は和菓子とお酒の融合に力を入れておられ、日本酒に合う和菓子を創作したり、和菓子にリキュールを取り入れたりと、ユニークな発想で和菓子の可能性を広げています。
今後も目が離せない和菓子屋さんですね。