歌会始の御題をもとに作られる創作和菓子のことを御題菓(ぎょだいか/おだいか)といいます。
翌年の御題が発表されると、各和菓子店では一年がかりで御題菓の準備をはじめます。どのような意匠にして、素材や味は何にするか、御題にちなんだイメージをふくらませ、何度も試作を重ねて創り上げていきます。
今日は、平成30年(2018)のお題「語」にちなんだお菓子を紹介します。
「幼語り(おさながたり)」薯蕷製:とらや
薄紅色に染めた薯蕷生地で小豆つぶ餡を包み丸め、蒸し上げます。さらに、紅、黄、緑の3色の線を描き、手鞠を写したお菓子で、今年初めて創作された新作です。
手まり(てまり、手毬、手鞠)は、日本で1200年以上前からある伝統的な遊具のひとつです。
かつてはお姫様の遊び道具として作られ、それが民衆に広まり、お正月には縁起の飾りものとして、また、嫁ぐ娘のために幸せのシンボルとして、また、魔除けとしても持たせるようになったといわれています。
今では、まりつきをして遊んでいる子供など見かけることはなくなりましたが、昔は特にお正月の女の子の遊びとして好まれ、「新年」の季語になっています。
一針づつさしてゆく細かく手間のかかる手まりですが、手作りのため、同じ模様のものでも、作り手の色使いやちょっとした針のさし方で出来上りが異なり、ひとつとして同じものがないところは上生菓子と同じですね。