今日お届けするお菓子は、昭和7年創業の「田園調布あけぼの」さんのものです。
この店のこだわりは、和菓子の要である餡をすべて自家製で作っていること。
餡の中でも、特にこし餡は、つぶす、漉す、さらすなど工程が多く大変手間がかかるので、製餡業者のものを仕入れて使っている店も多いのですが、それでは本当に美味しいものは出来上がりません。
上質なこしあんは上品な甘さと舌の上でさらりと溶ける口溶けのよさが特徴ですが、原材料、工程のどこを手抜きしてもこの味は出せないので、本当に納得のいくものを作るなら自家製に限ります。
そんな「あけぼの」さんの上生菓子の特徴は、奇抜さや衒い(てらい)のまったくない正統的な作品が多いことです。逆にいうと、個性に乏しいとも言えるかもしれませんが、末永く伝統を繋いでいくためには、正統派が一番なのかもしれませんね。
では、「田園調布あけぼの」さんのクリスマス上生菓子を四趣お楽しみください。
「クリスマスツリー」きんとん製:田園調布あけぼの
今話題のLEDの電飾を、色とりどりのみじん粉を散りばめて表現しています。
「上用まんじゅう」薯蕷製:田園調布あけぼの
上用まんじゅうというだけで、具体的な菓銘が付いていないのが惜しいです。「雪景色」とか「雪の精」「雪の舞」など、食べ手が自由に名前をつけていただくのも一興ですね。
「サンタさん」煉切製:田園調布あけぼの
ヒゲが蔦(つた)の葉型を転用して作られているのが面白いですね。
「ひいらぎ」雪平製:田園調布あけぼの
真っ白な雪平生地で雪を、瑞々しい羊羹でヒイラギの艶やかな葉と実を見事に写しています。