「侘助(わびすけ)」煉切製:福島家
紅白の対比、花びらの繊細な造形、花芯の生き生きとした描写が見事なお菓子です。
椿の中で、最も人気の高い品種は、侘助だといわれています。
侘助の花は一重咲きで小さく、花びらは開ききることなく猪口(ちょく)のように筒状で、葉も細く、全体に控えめなところが、『わび、さび』を重んじる茶道の世界で人気を得ている理由でしょう。
日本人は大きく豪華な物よりも、道端でひっそり、奥ゆかしく咲いている、人目につかない美しさに心惹かれる面があるようです。
侘助という名前が何に由来するのかについては、いろいろな説があります。
・「侘数奇(わびすき)」が転じたとする説。
・文禄・慶長の役の際、侘助という人物が朝鮮半島から持ち帰ったからという説。
・千利休の下働きをしていた侘助という人物に由来するとする説。
・堺の茶人である笠原七郎兵衛 (還俗して侘助)が好んだことからという説。
いずれの説も確証はありませんが、侘助にまつわる興味深い逸話として、その花とともに楽しまれています。