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千どり餅(菊屋)

「千どり餅(ちどりもち)」外郎製:菊屋 

漉し餡を外郎生地で包み、木型にて千鳥の形をかたどり、三日月形の焼印を押したお菓子です。

 

一般に千鳥という場合には、チドリ属の総称です。足が長く、目が大きく、翼は長い。しぎに似て、くちばしが短く、色は灰褐色です。

 

水辺の鳥として俳句の世界では、冬の季語に分類されていますが、春と秋に日本を通過するもの、夏は日本にいて冬に南に下るものなどがいます。

 

海岸の干潟や川、湖沼に棲み、昼間は外海にいて夜は渚近くに飛び戻ります。小走りに水際の昆虫や小動物を補食しますが、このときに両足を打ち交えて歩くさまから、酒に酔ってふらふら歩くときの「千鳥足」が生まれました。

 

波間を群れ飛ぶ姿は数々の文様になっています。硬い線で単純化したものやふっくらと ユーモラスなもの、また波や浜など様々なものと組み合わせたものなど多数意匠化されています。

 

千鳥文様 

 

「千鳥=千取り」という語呂合わせで、より多くの幸せが手の中にやってくるようにという願いが込められた文様でもあります。

 

菊屋さんのこのお菓子の菓銘を「千鳥餅」と、すべて漢字にせず、あえて「千どり餅」としたのは、「千鳥」と「千取り」の両方の意味を含めるためだと思われます。

 

さらに、哀愁を帯びた鳴き声は、古来、多くの歌に詠まれ、様々な文学作品の中で、磯千鳥、浜千鳥、浦千鳥、島千鳥、川千鳥、群千鳥、友千鳥、遠千鳥、夕千鳥、小夜千鳥、夕波千鳥、月夜千鳥などと熟語にして使われ、いずれも情緒ある響きの良い言葉ですね。