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初霜(村上)

「初霜(はつしも)」煉切製:村上 

藍色と灰白色にぼかし染めた煉切で餡を包む。黄色い蘂(しべ)の周りに丸い小さな型押しで作った花びらを刻み、上から霜に見立てた氷餅粉を散らしたお菓子です。 

 

 

日々冷え込みが厳しさを増してゆく季節、風のない、よく晴れた寒い朝限定で見ることのできる特別な花があります。

 

普段、気にとめることもない地味な草木が、ある朝、白くきらめく霜をまとい、まるで一斉に花を咲かせたような光景を目にし、はっとさせられることがありますね。

 

古人はこれを「霜の花」と名づけ、歌などに詠んて愛でてきました。

 

「みし秋の 千種はのこる 色なくて 霜の花さく 野辺の朝風」 

(飛鳥井雅親) 

(秋に眺めた時は色さまざまの草花が咲いていた野。冬に来て見れば、冷たい朝風が吹く中、いちめん霜の花が咲くばかり。)