「冬日和(ふゆびより)」雪平製:菊家
卵白入りの雪平生地であんず餡を包みまるめ、緑色に染めた煉切製の茎葉を添えて蕪(かぶ)を写しています。
冬日和の翌朝はぐっと冷え込み、かぶをはじめ冬野菜はどんどん甘みを増していきますね。
「冬日和」とは、冬の間のよく晴れた日のことで、俳句の世界では冬の季語になっています。
これと似た意味の季語に「冬晴(ふゆばれ)」「冬麗(ふゆうらら/とうれい)」「寒晴(かんばれ)」「寒日和(かんびより)」などもあります。
「冬晴」が大気が冴えわたった突き抜けるような晴天のイメージに対し、「冬日和」というと、穏やかな安堵感がありますね。
また、「冬麗」となると春の「麗らか(うららか)」に通じる暖かさまで感じられます。
一方「寒晴」「寒日和」となると、凍るような厳寒の中の晴天となり、同じ冬の晴れでも、心情によって細やかに描き分ける日本人の感性はほんとうに素晴らしいですね。
このような、豊かな感受性は、そのまま和菓子の中にも生かされています。
冬日和のかぶ畑