「柚子(ゆず)」煉切製:梅園(2013年11月8日購入)
「柚子(ゆず)」煉切製:梅園(2013年11月15日購入)
黄色く染めた煉切で餡を包み、まあるく柚子の形に似せてかたちづくり、表面に氷餅粉をまぶします。仕上げに煉切製の蔕(へた)と葉を添えたお菓子です。
今年の3月から始まった上生菓子コレクションも今日で600個を超えました。
これだけ数が増えてくると、どのお菓子を買って、どれをまだ買っていないかの記憶が曖昧になり、同じ店の同じ菓銘の上生を重複して買ってしまうことが最近時々あります。
先日も、1週間前にすでに買っていた同じお菓子を間違ってまた買ってしまいました。
それが、上の2枚の写真の、梅園製「柚子」です。
でも、こうやって改めて見比べてみると、相違点がかなりあります。
まず、色合い。先に買った方がより黄色味が強く鮮やか。後に買ったものは少し黄緑色っぽいです。
柚子特有のデコボコした果皮の様子を、前に買ったものは箸先で所々穴をあけて表現していますが、後から買ったものにはこの穴はありません。
一番大きく違うのが葉っぱ。前に買ったものは丸い感じで色が濃い。後から買ったものは葉先が尖っていて、色が薄い。
蔕(へた)の軸の部分も長さや色合いが異なります。
このように、同じ店の同じ時期の同じ主題のお菓子でも、一個一個表情が違います。
まったく同じお菓子には二度と巡り会えない、一期一会の貴重な出会いなのです。
工場で規格通り、機械が製造する味気ない製品とは違う、手作りならではの温もり、柔軟性、曖昧さ、ゆるり感が本当に心地よいですね。