「山茶花(さざんか)」きんとん製:豊島屋
紅色に染めたきめの細かいそぼろを、小豆つぶ餡のまわりに植え付け、最上部に黄色いこなし製のシベを配し、山茶花の花を写したお菓子です。
糸のように細やかなそぼろが圧巻ですね。
そぼろ作成用のふるい(そぼろ漉し)には、竹製や金属製の他に馬の毛を使って作られた「毛篩(けぶるい)」があります。
きめの粗い太めのそぼろは、竹製や金属製ふるいで漉し出しますが、きめ細やかな繊細なそぼろを作るときには毛篩が欠かせません。
金属製のものは漉す時に素材の中の繊維が切れてしまい、漉した後のそぼろに繊維が混じってしまいますが、馬の毛はその弾力で繊維を押し返すので、繊維が混ざらず、とても口当たりの良いそぼろができます。
また、天然の毛には細かいキューティクルの凹凸があるので、同じ目の他の材質のものよりもそぼろの粒子をさらに細かくできます。
そして、何より素材に金気をうつさず、本来の風味を損ねないという利点があるのです。
晩秋から初冬にかけて、花の少ない時期に美しい花を咲かせ、目を楽しませてくれる山茶花はとても貴重ですね。
山茶花は椿の花に似ていますが、椿よりもはかなげに咲き、はかなげに散るところに趣を感じます。
きめの細かい繊細なそぼろで表現されたこのお菓子は、まさにそんな山茶花のはかなさを見事に写していると思います。
(参考サイト:http://diamond.jp/articles/-/42437?page=2)