「紅葉羹(もみじかん)」錦玉製:亀屋万年堂
希少糖入りの黒糖羹の中に、手亡豆、ひよこ豆、うぐいす豆、金時豆、大納言豆の5種類の豆の蜜漬けを入れ、上に赤い煉切製のもみじ葉をのせたお菓子です。
口の中で、いろいろな豆の風味が次から次へと現れては消えていく様子は、まるで、豆の博物館を観覧しているような感覚でした。
磨き上げられた黒糖の鏡面に映った紅葉の静謐な美しさが、秋の清透な空気を感じさせてくれていいですね。
このお菓子のもう一つの特徴は、「希少糖(きしょうとう)」を使っていることです。
希少糖とは、別名レアシュガーとも呼ばれ、ぶどう糖などの自然界に大量に存在する糖と違い、文字通り存在量の少ない希少な糖のことです。
現在50種類以上の希少糖が確認されていますが、ただ甘いだけでなく、身体に働きかけていろいろな効能を発揮してくれるのが特徴です。
例えば、食後の血糖の上昇を抑えてくれたり、脂肪が蓄積するのを防いでくれたり、動脈硬化の予防作用、血圧上昇抑制作用など数々の作用が報告されていて、病気の予防に有効な機能性素材として注目されています。
このように、和菓子は、見てきれいなだけではなく、食べても美味しく、また、身体にやさしい素材を使うことによって、病気の予防にもなるという、新しい可能性が見出されています。