「竜田川(たつたがわ)」鹿の子製:文銭堂本舗
小豆こし餡と求肥入りの小倉鹿の子の上に、おだまきを使って麺状にした薯蕷煉切をのせ、さらに紅色に染めた羊羹製の紅葉を添えています。
紅葉の名所として古くから知られている竜田川の流れを、そうめんのように細く長く加工した煉切で見事に写しています。
このお菓子のポイントである、糸状の煉切は、「小田巻(おだまき)」という道具を使って作ります。
これは、簡単に言えば注射器のような道具で、円筒形の筒(シリンジ)と、可動式の押子(おしこ)が主な構造です。
筒の先に小さい穴があいていて、筒の中に餡を入れて、押子で圧力をかけて押し出すと、先の穴から餡が細い糸状となって出てくる仕組みです。
穴の数は1個のものから、複数のもの、穴の大きさも小さ目、大き目のものと、筒先のパーツを変えることで調整できます。
「おだまき」とは本来、つむいだ麻糸を巻いて玉にしたものの名前ですが、この名前から転じて道具の名称になったと考えられています。
洋菓子のモンブランを作るときにもこの道具が使われるようです。