「秋の山（あきのやま）」きんとん製：鶴屋八幡
小豆つぶ餡をふたつの蜜漬けの栗ではさみ、さらにその上に黒砂糖をまぜた独特の風味の黒糖餡のそぼろを植え付けたお菓子です。
見る方向を変えると、きんとんの茶色と栗の黄色の配分が変化して、表情がくるくる変わるのがおもしろいですね。
秋の山は空気も澄んで、四季のうちで最も美しい景観をみせてくれます。
秋の訪れと共に頂上の方から次第に色づいて、まるで錦のカーテンが下りてくるように山が染まっていきます。
紅色、橙色、黄色などに色づいた落葉樹が、常緑樹の松や杉の緑の中に縞模様や斑点模様を描いた様子はまさに自然の描く一大絵巻ですね。
やがて、紅葉のピークを過ぎると、あれほど鮮やかだった紅葉が徐々に褐色に色あせてきて、冬の到来とともに木枯らしに吹かれ、葉を落としていきます。
このお菓子は、そんな秋の終わりの枯れ色の山を表しているように見えます。
