「花は吉野よ、紅葉は高雄、松は唐崎、霞は外山(とやま)〜」
と、歌に詠まれるように、高雄は古来より紅葉が有名な場所です。
高雄山(たかおやま/たかおさん)は京都市右京区、保津川の支流である清滝川の右岸に位置する山。高尾山とも表記され栂尾(とがのお)槙尾(まきのお)とともに三尾(さんび)と呼ばれる紅葉の名所で、歌枕としても有名です。
今日は、「高雄(高尾)山」「高雄(高尾)」が銘に使われている上生菓子を集めてみました。
「高尾(たかお)」煉切製:ささま
「高雄の舞(たかおのまい)」煉切製:栗山
「高雄(たかお)」羊羹製:甘春堂
「高雄(たかお)」焼皮製:鶴屋吉信
「高尾錦(たかおにしき)」煉切製:秋色庵大坂家
ささま製の楓は、葉の列片が7枚のオーソドックスな左右対称形。橙色と黄色の二色に染め分けられています。安定感のある静的な表現で、奥京都の静謐な世界が目に浮かぶようです。
栗山製の楓は、散りゆく葉が表になり、裏になり、菓銘の通り、まるで舞っているように翻り、二つに折りたたまれたようになっているのがおもしろいですね。勢いを感じさせる動的な表現で、風の音や葉っぱがざわざわそよぐ音まで聞こえてきそうです。
甘春堂製は、棹物のスケール感を生かした意匠で、 高雄山一面に広がる紅葉を見事な色彩感で描いています。
鶴屋吉信製は、温かい色合いに、焼皮のやさしい質感、手作り感あふれる生地の折り方など、眺めてほっとくつろげる心地よいお菓子に仕上がっています。
秋色庵大坂家製は、二枚の重ね楓形の木型で押し抜いたお菓子ですが、型抜きにありがちな硬いイメージがなく、手技で作ったような温かみのある彫りが特徴です。
高雄の紅葉