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散紅葉(豊島屋)

「散紅葉(ちるもみじ)」錦玉製:豊島屋 

小豆羊羹を台にして、その上に赤や黄色に染めた羊羹製のもみじを散らし、錦玉で固めたお菓子です。

 

 

秋にあれほど美しく紅葉した葉も、冬の訪れとともにしだいに水分が失われて軽くなり、北風に軽々と吹き飛ばされ、散っていきます。 

 

真っ赤なままの葉が、日射しを浴びながらひらりひらりと宙を舞うさまは、枯れ色の世界に貴重な艶やかさを加えてくれます。 

 

このようにして、一面に敷き詰められた紅葉を「散紅葉(ちりもみじ)」といい、俳句の世界では冬の季語になっています。 

 

豊島屋さんはあえて「ちりもみじ」ではなく「ちるもみじ」と読ませていますが、同じ意味の季語「紅葉散る(もみじちる)」をも意識したものでしょう。 

 

京都の紅葉は12月に入ってからが見頃ですが、この時期はたいへん混むので、人ごみの苦手な私は、すべて散りきった後、ひとけのない場所で「散紅葉」を楽しむ方が好きですね。 

 

散り敷かれた紅葉に、やがて霜が降り、静かに、そして確実に冬は深まっていきます。