「山錦(やまにしき)」外郎製:俵屋吉富
白こし餡入りの外郎餅のまわりに、色とりどりの羊羹製の楓の葉を敷き詰めるように付けたお菓子です。
餅や求肥を餡で包んでまるめ、そのまわりに蜜漬けにした豆を隙間なくつける鹿の子餅というお菓子がありますが、その豆の代わりに羊羹製の紅葉を付けたような面白い発想の逸品ですね。
さて、能書きは後にして、まずはいろいろな角度からこのお菓子を堪能してください。
金糸銀糸や色糸を織りこんだ華麗な織物のことを錦といいます。
「山錦/山の錦」とは、秋の山が紅葉で、はなやかにいろどられた美しさをこの錦にたとえたことばです。
紅葉を写した和菓子の銘には「錦」が付いたものが多いですね。
「唐錦」「綾錦」「秋錦」「錦秋」「秋錦繍」「梢の錦」など、字面をみただけで、色鮮やかな晩秋の風景が目に浮かんでくるようです。