「山路の錦(やまじのにしき)」こなし製:とらや
紅色、黄色、緑色の三色に染め分けたこなしで、肉桂入りの小豆こし餡を包み、葉が折り重なるように彫った木型で抜いたお菓子です。
初秋から山もみじが次第に色づいていく秋の風情を三色の色分けでうまく表しています。
木型で押し抜いて、もみじを表現する場合、一枚の葉をかたどったものが一番多いですが、二枚や三枚に重なったものも時々見かけます。
このお菓子は、豪華に五枚以上も重なった、華やかな意匠です。紅葉の鮮やかさは、しばしば錦(華麗な文様を織り出した織物)にもたとえられますが、これが菓銘「山路の錦」の由来です。
普通のこし餡だと思って一口いただくと、ちょっと辛味のある刺激的な香りがフワーッと広がりびっくりしてしまいました。珍しい肉桂入りの御膳餡はサプライズでしたね。
秋の紅葉は春の桜とともに、日本列島を彩る植物の華やかな姿ですが、桜前線が南から上ってくるのに対し、紅葉は北から下りてくるのがおもしろいですね。