· 

初瀬の錦(とらや)

「初瀬の錦(はつせのにしき)」琥珀製:とらや 

 

「初瀬」とは現在の奈良県桜井市初瀬にあたり、「花の御寺」として親しまれている長谷寺や秋の紅葉で古くから有名な場所です。このお菓子は、紅葉した楓を涼しげな琥珀羹でかたどったお菓子で、中に白こし餡が入っています。大正7年(1918)に初めて創作されました。 

 

初瀬は万葉集の中でも「隠国(こもりく)の里」と詠まれ、初瀬川の豊かな水や自然と、人を包み込むような地形から、古来より心のふるさととされてきました。 

 

長谷寺の門前町として、多くの参拝客が訪れ、栄えてきたまちであり、豊富な歴史的文化資源が残っています。

 

初瀬山の南麓の名刹・長谷寺を中心にした初瀬川沿いの一帯は、秋になると紅葉が山間を彩ります。例年なら10月下旬くらいから色づきはじめ、11月中旬頃が見頃となります。 

 

特に長谷寺の外舞台から眺める五重塔と紅葉の競演が見事で、赤い五重塔が、紅葉によりさらに鮮やかに映え、あたかも自然と一緒に織りなす芸術作品のように見えます。 

 

紫式部・清少納言・紀貫之・松尾芭蕉など、名だたる文人たちも訪れたという由緒ある場所ですから、機会があれば是非一度訪れてみたいものですね。